2020年10月10日

同じ景色を見た写真【想い出アミーゴインサイドストーリー⑬】

「同じ景色を見た写真」



東京のとある水族館での話です。

祝日のお客様が多くいらっしゃる時間帯に4名の家族を撮影させていただきました。
お客様は、ご両親と障害をお持ちの小学生ぐらいの兄弟でした。

撮影前に、写り方や写真販売の案内をお客様にしていました。案内が終わるとお母さまが、「この子たちはカメラ目線が出来ないので、気にせずに撮ってください」と仰いました。

カメラは三脚で固定されており、お客様との距離も離れています。お客様から目線をもらえるようにするにも工夫が必要です。

まずは、2人の兄弟を支えるように真横に並んでいただき目線の高さを合わせてもらえるようしゃがんでもらいました。

そして、兄弟揃ってカメラに目線をもらえた瞬間に、撮影が出来るようにぬいぐるみを大きく動かして目線を誘いながら撮影を行いました。しかし1回、2回と撮っても全員の目線が揃ったタイミングで撮影することは、できませんでした。

2回の撮影を終えた時点で、結構な時間を要してしまいました。すると「抱っこしてみます。」と言って立ち上がってご両親が、お子様を抱っこしてくれました。

お子様も両親に抱っこされて安心したのだと思います。ここで、空気が一瞬にして変わりました
それを察したのは、私だけではありませんでした。2名のスタッフがすぐに撮影のサポートに来てくれました。

女性スタッフは、音がなるペンギンのぬいぐるみを持って…もう1名の男性スタッフは
体全体を使って私の後ろ側で手を振り、声を出してくれました。みんなの心遣いに感謝しつつ撮影に集中しました。






1カット目は、お子様の目線はあっていましたが、お母様が視線を落としてしまいました。

2カット目。もう失敗は許されません。スタッフもお子様が飽きないように工夫をしてくれてお母様も揃って、全員カメラ目線で笑顔の写真を撮ることができました。

仕上がった写真を見てお母様は「家族全員が、カメラ目線の写真なんて、初めてです!」と
とても感激してくださいました。施設を見学した後もわざわざ撮影コーナーに立ち寄ってくださり「本当にありがとうございます」と深いお辞儀と共にお礼の言葉をいただきました。

撮影を始めた段階では、お客様のニーズにあったサービスではなかったのかもしれません。

しかし「お客様に喜んでもらいたい。」という私たちの想いがお客様に伝わったのではないかと思います。

結果、ご両親から信頼を得ることが出来、それがお子様への安心感に繋がり、想い出の写真を提供することができました。

スタッフ全員で想いを共有できたから、良い写真を提供できたこと。

その結果、お客様にとても喜んでいただけたこと。

私にとって忘れられない日になりました。




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