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2020年12月03日

想い出と記念のカタチ【想い出アミーゴインサイドストーリー㉔】

舞台はとある観覧車。

「おっ、よく撮れてるね。これは嬉しい、おい、買って帰ろう」

写真には、仲睦まじいご夫妻が寄り添って写っています。

私は奥様から代金を戴いて、写真をご主人にお渡ししました。
「ありがとう。良い記念になったよ」
終始笑顔のご夫婦に、私も嬉しい気持ちになりました。

想い出と記念のカタチ【想い出アミーゴインサイドストーリー㉔】

「あと、これは後ろの人の分。お願いね」
奥様はそう言いながら財布を開き、もう一枚分の代金をキャッシュトレイの上に置きました。

「後ろの人の分?」
私はご夫婦の後ろに目を向けました。そこにいたのは20代女性二人組。

「あぁ、後ろの方の分ですね。承知致しました。」
ピンときました。
ご家族だったのでしょう。ご夫婦と、後ろにいる二人組のお嬢様、四人家族。
それなら四人一緒で撮影していただきたかったのに…
と思いながら、後ろの女性二人組にも写真を見ていただきます。

若い女性二人組は写真を見るなり、ワァッ!と手を叩いて喜ばれました。
「めっちゃ盛れてる!」「すごい!いい写真だね!」
写真を褒められると私は飛び上がるほど嬉しくなってしまいます。

お二人が写真をご覧になったのを確認した私は、
ニコニコしながら写真を袋にいれました。

「お二人の笑顔が詰まった素敵な写真ですね!お代はもういただいておりますので、
はいどうぞ!よい記念になさってくださいね」
元気よく差し出した写真でしたが、お二人には受け取ってもらえませんでした。

それどころか、キョトンとした表情。何を言っているのか分からないというお二人の顔つき。
私も、差し出した両手も行き場をなくしてしまい、助けを求めるように先ほどのご夫婦を探します。
販売カウンターの向こうからこちらの様子を見ていたご夫婦。ご主人は腕を組んで笑顔です。
「あの… 前のお客様から代金をいただいておりまして…」
しどろもどろの私が言い終わらないうちに、ご主人が近づいてきました。

「先ほどはありがとうございました。お陰で私たちは観覧車に乗ることができました。
この写真はお礼です。受け取ってください」

若い女性二人はしばらく目を見合わせ
「いいんですか? こちらこそありがとうございます!」「嬉しいです! ありがとうございます!」
ペコペコ頭を下げながら、私の差し出す写真を嬉しそうに受け取りました。

「あれ?ご家族じゃないの?」

まだ腑に落ちていない私は、若い女性2人に事の真相を尋ねました。二人は笑顔で教えてくださいました。

想い出と記念のカタチ【想い出アミーゴインサイドストーリー㉔】


観覧車に乗る前、ゴンドラ前の列に並んでいた時のこと。
先ほどのご夫妻が観覧車のチケットを気づかぬうちに落としてしまったそうです。
ちょうど後ろに並んでいた女性二人組が落ちたチケットに気づき、すぐに拾って渡したところ、その親切心にご夫婦はとても喜んだのだとか。チケットを拾ってもらったお礼としてご夫婦が二人にプレゼントしたのが先ほどの記念写真だった、というストーリーでした。

全てを話してくださった女性二人組は、受け取った記念写真を大切そうに抱えてその場を離れていきました。

その後ろ姿を見つめながら驚きと感激でしばらく思考が停止しました。(笑)

ご夫妻が女性二人に感謝の気持ちを表し、その気持ちとして選んだプレゼントが、
私たちの撮影した記念写真であったことに感激しました。

それと同時に、私たちの扱う記念写真というものが、なんと多くの価値を、
多くの想いを内包することができるのかということに、改めて気づかされました。

写真を見て想い出すのはそこに写っている「人」や「もの」だけに限らないということ。
その時に見た景色、聞こえた音、薫った匂い、撮影の前後に起こった印象深い出来事も、
そこに写っていない「もの」だって「人」だって想い出せる。

例えば写真をプレゼントしてくれたご夫婦のこと、チケットを拾ってくれた若い女性たちのこと、
そこに想い出があれば写っていなくたって、写真を手に取るだけでエピソードをまるごと想い出せる。
それが記念写真だということを。

私が体験したこのエピソードは、記念写真の、そして私たちが取り扱う「想い出」という名の底知れない力を改めて感じさせてくれるものでした。

この感激を忘れずに、一人でも多くのお客様に記念写真という素晴らしい想い出をお持ち帰りいただけるよう、一層腕を磨いていきたいと強く心に思いました。

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